レーザー兵器について真剣に考える
「レーザーの研究をしてる」「レーザーに関する仕事をしている」と言うと、
よく、『レーザーってあのレーザー兵器?』という質問をされます。
そこで今回は、大学でレーザーの勉強をし、現在レーザー関連の仕事をしている立場から
レーザー兵器の可能性を真剣に考えてみました。
ここでは、レーザー兵器として、スナイパーライフルを想定します。

レーザーライフル
レーザーライフルの可能性
以下、レーザーを使ったスナイパーライフルの利点を考え付く限り書いてみました。
- 射程距離は数km(レーザーは拡散しない)
- 精度100%(風、重力の影響がない。反動もなく、発射速度は光速)
- 攻撃力が可変(エネルギーなどを切り替えることで可能)
- 敵に見つかりにくい(銃声、煙、銃口の火花がない。また、薬きょうもない)
素晴らしい兵器です。最も安全で強力な兵器と言ってもいいんじゃないでしょうか?
特に、精度が100%と、攻撃力が可変というところがいい。
威嚇射撃にこれほど最適な兵器もないでしょう。
弾丸を使った場合は、命中すれば必ず重傷を負いますが、
レーザーを使えば軽い火傷ですみますしね。
レーザーの出力は大きければ大きいほど攻撃力は増しますが、
出力の大きなレーザー光源は巨大なものになるので、
標的に応じた出力のレーザー光源を使うのもいいでしょう。
物質を融解、破壊する場合に考えなければいけないのはレーザーの
ピーク出力ですからレーザー兵器の光源はパルスレーザーがいいでしょう。
(連続発振レーザーでは仕組みも簡単で、小型化も容易ですが、
攻撃力はパルスレーザーに劣ります。)
下の図は、連続発振とパルス発振の違いを示したものです。

連続発振とパルス発振
次の図は、パルスレーザーの平均出力とピーク出力の関係を示した図です。

平均出力とピーク出力
ピーク出力を大きくする方法は
- 繰り返し周波数を小さくする方法
- パルスの時間幅を短くする方法
の2つがあります。
繰り返し周波数を小さくする場合
パルスレーザーの繰り返し周波数を数百kHz程度に小さくすると、
1パルス当たりのエネルギー(パルスエネルギー)が大きくなり、
ピーク出力も大きくなりいます。しかし、繰り返し周波数が小さいレーザーは
一般的に大きなシステムとなってしまうので、携帯型の兵器に適していません。
この問題を解決するのは、ファイバーを結晶に用いたファイバーレーザーです。
ちなみに、僕の会社ではこのファイバーレーザーに関する業務を行っています。
パルスの時間幅を小さくする場合
産業界では非加熱加工を可能にする超短パルスレーザーが注目されていますが、
レーザー兵器も、この超短パルスレーザーが有効だと考えられます。
超短パルスレーザーを使うことで、レーザー光はステンレスなどを容易に貫通することができます。
また、パルス幅を変えることで攻撃力を約1000倍の範囲で変化させることができます。
現状でレーザーライフルを作れるか?
ただ、現状の高出力パルスレーザーはそれほど安定ではありません。
ほとんどの場合、レーザーは机の上などに固定して使っており、
安定な直流電源と、物によってはレーザーを発生させる結晶の温度を
下げるために特別な装置が必要です。
以上の考察により、携帯可能なレーザーライフルの開発は現状は無理です。
しかし、これを真剣に開発しているのが米国。
科学の歴史は戦争の歴史だとも聞きますが、
レーザーテクノロジーのブレークスルーは米国の兵器産業から生まれるかもしれませんね。

Man-portable Integrated Laser Assault Rifle
参考文献


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